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2008年6月27日 (金)

松山千春

フォーク歌手の松山千春(52歳)が不安定狭心症で入院(2008.06.25)。http://www.asahi.com/showbiz/nikkan/NIK200806270015.html

「千春は糖尿の持病はあるが、心臓の持病はなく、今回のツアーも元気に20カ所で公演を行っていた。デビューに導いた恩人で札幌テレビ放送のラジオディレクター竹田健二さん(享年36)から、デビュー前に「酒、女、たばこ、どれか1つをやめろ」と助言され、酒をやめた。以来、酒は1滴も飲んでいないが、たばこは「曲を作ると口が寂しくなる」と吸っているという。

経皮的冠動脈形成術で命拾いしたようである。

http://sankei.jp.msn.com/entertainments/music/080626/msc0806261448003-n1.htm

吉田拓郎(1946年生、62歳)は 2003年、肺癌の手術。小椋佳(1944年生、64歳)は2001年胃癌の手術を受けている。若い頃、よく聞いた歌手も病に倒れる年齢となっている。自分もご多聞に漏れずであるが。

不安定狭心症」は「メルクマニュアル(家庭版)」によると、

http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sec03/ch033/ch033b.html

「症状のパターンが変化する狭心症のことです。狭心症の特徴からみて、症状が安定していた患者に、痛みがひどくなる、発作回数が増える、あまり運動していないあるいは安静にしているのに発作が起こる、などの変化が現れた場合は危険です。普通はこのような変化は、アテロームの破裂や血栓の形成により冠動脈の狭窄がひどくなり、冠動脈疾患が急速に悪化していることを示すものだからです。心臓発作を起こす危険性が高くなっているため、不安定狭心症は緊急に治療する必要があります。」

Washington Manual of Medical therapeutics, 31st ed.では

1) new-onset angina(新規発症狭心症)

2) angina at rest(安静時狭心症発作)

3) progression of angina of increasing frequency or severity or in response to lower levels  of exertion(ちょっとした程度の労作でも狭心症発作の頻度と症状の増悪の進行)

risk factor(危険因子)は「遺伝因子」は変えられないが

1) 喫煙

2)高血圧(治療としては140/90以下、さらには130/80以下が望ましい) 

3)糖尿病(治療としては空腹時血糖110以下、HbA1c 7.0%以下)

4)高脂血症

5)肥満

6)運動不足(1日に30分は体を動かしたほうがいい。)

7)加齢(男>45歳、女性>55歳)

私も危険因子を少なくとも3つは持っている。他人事ではない。

新聞報道では、松山千春は糖尿病の持病がありながら、タバコを吸い続けたのは自業自得か。元気になって、また歌を聞かせて欲しい。

de Quervain病

「ドケルバン病」、厚生省病名は「ドゥ・ケルバン腱鞘炎」初めて聞く病名である。手首の腱鞘炎。

http://www.tanakageka.com/lecture/dequervain/

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-11771-storytopic-1.html

パソコン、裁縫、ピアノなど手をよく使う人に見られる腱鞘炎。NHK「きょうの健康」2006年5月号(「けんしょう炎」川崎市立病院 堀内行雄副院長)に載っていた。

手関節の腱鞘は親指側にあり、この部分に起こる腱鞘炎を「ドケルバン病」といい、親指を広げるのがつらくなります。

診断法として、

Finkelstein's test(フィンケルシュタイン テスト):母指を内側に入れて、握りこぶしをつくり、手首を小指側に曲げると痛みが生じる。

治療法は

1)局所の安静、

2)髄鞘内局所麻酔入りステロイドの髄鞘への注射。

3)上記治療で治らない場合は手術(髄鞘の切離、腱の開放)

整形外科医にとっては どうも ありふれた疾患のようですね。

「ドケルバン」というのは人の名前で、Wikipediaによると

http://en.wikipedia.org/wiki/DeQuervain's_syndrome

Frintz de Quervain(1868-1940)はスイスの優れた外科医で、「de Quervain's thyroiditis」(ウイルス性呼吸器感染症の後にしばしば起こる、亜急性、非細菌性甲状腺炎) という疾患も発見している。「内分泌疾患診療マニュアル」(日本医師会)によると この疾患は40歳以上の女性に好発し、感冒症状に引き続き、有痛性の甲状腺腫大を伴い、頻脈、多汗、体重減少が見られます(一過性甲状腺中毒症)。

パソコンのキーボードを叩く機会の多い自分も親指の使い過ぎに?気をつけないといけない。

2008年6月20日 (金)

百日咳2

以前、百日咳について書いた。

http://shibaryo.synapse-blog.jp/shibaryo/2008/04/post-725c.html

広島県感染症情報センター(2008.05.09)でも百日咳の例年と比較した今年の流行を報告している。

http://www.pref.hiroshima.lg.jp/hec/hidsc/kansen_wadai/hyakunitiseki.html

愛知県の県のHPでも百日咳の流行を警告している(2008.06.05)。

http://www.pref.aichi.jp/0000016029.html

岩田健太郎著「感染症外来の事件簿」(医学書院)によると

成人発症の百日咳は、予防接種はしているが、効果の減弱してからの感染が問題。この場合、古典的な発作性の咳嗽は比較的少なく、持続性の咳嗽が主症状。

咳が激烈で、長く続く咳で「吐いてしまう」という病歴があれば百日咳を疑う。

ドイツなどでは既に、青少年の時期に追加で百日咳のワクチン接種をしている(ブースター効果)。

NEJM, 353,1555-1563, 2005でも

http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/353/15/1555

結語:無菌体百日咳ワクチンは、思春期と成人に対して予防効果があり、ルーチンに使用することで、子供達への伝播と全体的疾病負荷が軽減するとのことである。

つまり、乳幼児期のワクチン接種による百日咳菌抗体価が減弱している思春期、成人期に追加ワクチンを接種して、病気を軽くしたり、免疫を持たない子供達に移さないということである。

百日咳は乳幼児の病気と思っていたが、認識を新たにし、予防接種(思春期以降の追加接種を含め)の必要性を訴えたい。

2008年5月28日 (水)

麻疹2

http://shibaryo.synapse-blog.jp/shibaryo/2008/02/post-1d13.html

以前、本ブログで、麻疹ワクチン2回接種の重要性について述べたが、

NHKの「ためしてガッテン」(5月21日放送)でも、2回接種の重要性について、語られている。

http://www.nhk.or.jp/gatten/archive/2008q2/20080521.html

2007年に麻疹(はしか)に感染した人の約2割は麻疹の予防接種を1回受けたことがある人達だった。「実は予防注射で作られる免疫抗体は、自然に感染してできた免疫抗体よりも若干弱いのです。しかも免疫抗体は、数年から数十年で消えてしまうことがあるのです!」

今の若い人で、1回しか麻疹ワクチンを接種してない人は、要注意。

鹿児島県のHPでは

http://www.pref.kagoshima.jp/kenko-fukushi/kenko-iryo/kansen/hasseidoko/shikkan/index3.html

5月12日現在の報告では、本年1月から計18例の発症(5類感染症に該当:すべての診断した医師は7日以内に報告、但し、麻疹は可能な限り24時間以内)が報告されている。

http://www.pref.kagoshima.jp/kenko-fukushi/kenko-iryo/kansen/hasseidoko/chosa/masinnhuusinn.html

世界保健機構(WHO)は日本を含む西太平洋地域において、2012年までに、この地域から麻疹を排除する目標を定めている。

「麻疹輸出国」の不名誉な称号をいただいている日本、汚名返上できるか。

2008年5月26日 (月)

禁煙補助内服薬

以前、禁煙経口治療薬について、ブログで紹介したことがありますが、

http://shibaryo.synapse-blog.jp/shibaryo/2008/01/post-cff1.html

5月8日から発売され、処方できるようになりました。

5月23日(金)の南日本新聞では、この新薬の「光」と「影」が同じ日に掲載されてました。

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日本の治験での禁煙達成率は内服開始12週後は65%、1年後の持続禁煙率 35%。国内での臨床試験の副作用では、吐き気がでたが、中止したのは2%とのこと。

一方、「禁煙薬で意識障害」により米国連邦航空局が航空機操縦士において使用禁止の記事も掲載されました。

http://mainichi.jp/select/world/news/20080522k0000e040069000c.html

米国の飛行機の操縦士は「視覚障害、痙攣、意識障害」などの発現により、この禁煙薬の使用が禁止されたとある。国内での販売開始わずか2週間でのこの報道は衝撃的である。パイロットがだめであれば、車の運転手をはじめ、一般人もだめということにはならないのか?

思うに、「鳴り物入り」で発売された新薬が本当の評価を得るには、時間が必要ということでしょう。この新薬、思わぬ副作用で、消えていく可能性もある。

2008年4月25日 (金)

百日咳

百日咳は、診たことないですが、どうも流行のきざしがあるようです。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200804/506259.html

「4月7日から13日の定点報告数が、過去10年の同時期と比較して、最も高い水準にある。福井県、千葉県、広島県で多い。」

鹿児島県環境保健センターも、鹿児島県内で成人患者が増加していて、咳が長引く場合は早めの医療機関受診を勧めています。

http://www.pref.kagoshima.jp/kenko-fukushi/kenko-iryo/kansen/hasseidoko/week/kansenshuho12.html

三種(DPT)混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風)の最終接種は、鹿児島市では、早くて2~3歳。遅くてもせいぜい7歳6ヶ月でしょうか。保育園、幼稚園等の集団生活を始める前の接種を推進している。http://www.city.kagoshima.lg.jp/_1010/shimin/2kenko_hukushi/2-3kenkou/2-3-4yobosessyu/0000793.html

三種(DPT)混合ワクチンを接種していても百日咳にかからないと安心するわけにはいかないようである。接種後、百日咳への感染が無ければ、百日咳抗体価は10年で減衰してくる。そのため、青年期以降の感染は決して低くないといわれてます。

マクロライド系抗菌薬投与は、菌体除去に有効で、周囲への感染を防ぐための投与で、百日咳毒素が引き起こす咳嗽は、抗菌薬を痙咳期に投与しても症状の軽減しないのはつらい。

長引く咳を診たら、喘息、結核、逆流性食道炎、マイコプラズマ、クラミジアニューモニア等の他に、百日咳も考慮しないといけないですね。

米国では、2005年より11~18歳を新たにワクチンの追加接種が推奨されましたので, 日本もいいところは早く追随してほしいものです。

2008年3月13日 (木)

ケツメイシ

「ケツメイシ」というと、若い人は音楽グループを思い出すのかもしれませんが、私は名前しか知りません。

http://www.ketsume.com/profile/profile.html

彼らのHPによると、下剤に使用されている薬草で、「全てを出し尽くす」とあります。なるほど。

4人のメンバーのうち二人は薬科大学出身で、薬剤師の資格をもち、製薬会社への勤務歴があるのだそうです。

漢字で書くと、「決明子」と書く。「決明」とは、「目を明らかにする」すなわち、視力を回復する薬の意味。

「生薬単」(語源から覚える植物学・生薬学名単語集)(原島広至著)NTS社によると、「決明」(エビスグサ)の種「子」。薬効は緩下。漢方方剤にはあまり配剤されず、もっぱら民間薬として利用され、高血圧症、緑内障などにも用いられる。

今度、機会があれば「ケツメイシ」の曲を聴いてみよう。

2008年3月10日 (月)

立花隆氏と膀胱癌

文芸春秋2008年4月号によると、評論家の立花隆氏(67歳)が膀胱癌で2007年12月に手術を受けていたそうである。

http://www.bunshun.co.jp/mag/bungeishunju/index.htm

1997年から高血圧症で東大病院に通院していて、最近、肉眼的血尿を自覚して、泌尿器科で膀胱癌に診断を受けたそうである。一病息災といったところか。

膀胱癌の発病の危険因子として、喫煙の影響を述べている。彼の場合、40代半ばまで約20年間の喫煙歴があったそうである。それくらいのひとは世間にはいっぱいいそうであるが。

http://mext-cancerinfo.tri-kobe.org/database/pdq/summary/japanese.jsp?Pdq_ID=CDR0000062875

このサイトによると、喫煙者は4-7倍膀胱癌の発生リスクが高いそうである。禁煙後10年以降でさえ、膀胱癌の発生リスクは依然高く、今まで喫煙したことの無い人に比べ、約2倍とのこと。立花氏は、喫煙の他に農薬を含めた化学物質、排気ガスもあげている。

私が文芸春秋を読み始め、立花隆氏を知ったのは、故児玉隆也氏との共著「田中角栄研究」であった。30年以上前になる。

自分の膀胱癌を手記として文芸春秋に連載を開始した立花氏は、自分の病気を客観的に観察して、まとめ、公開している。なかなかできることではない。病気を克服して、今後もユニークな視点から執筆を続けて欲しいものである。

2008年3月 3日 (月)

黄砂とアレルギー

今朝、家内の黒色の車が真っ白になっていました。桜島の灰ではなく、黄砂の影響でしょう。

本日(3月3日)の南日本放送によると、「県内で、今年初めての黄砂がけさ観測されており、視界が悪くなっています。気象台によりますと、鹿児島市では、けさ7時10分と9時の観測で、視界が10キロとなっています。県内全域で黄砂が観測されています。県内で黄砂が観測されたのは今年初めてです。黄砂は、中国の内陸部やモンゴルなどの砂漠の砂が風で運ばれる現象で、窓ガラスや車、洗濯物が汚れる原因になるほか、見通しが5キロ未満になった場合視界がさえぎられ交通に影響が出る恐れがあります。 」

車が汚れるのは洗えばいいが、目に見えないいやなことがある。

今年は既に、スギ花粉症の季節に入って、スギ花粉症のひとにはいやな季節ですが、大分県立看護科学大の市瀬孝道教授(環境毒性学)と国立環境研究所によると、黄砂がアレルギー性鼻炎や気管支喘息を悪化させる可能性があるとのことです。

http://www.people.ne.jp/2006/05/08/jp20060508_59525.html

http://www.pref.aichi.jp/eiseiken/5f/kousa.html

黄砂の時は、普段以上にしっかりマスクなどの対策が必要のようです。

中国からは毒入り餃子だけでなく、又、今年もやっかいなものが日本にやってきた。黄砂には中国の大気汚染物質もしっかりくっついているのだろうな。

2008年2月28日 (木)

高橋英樹さんとSAS

俳優 高橋英樹さん(64歳)は時代劇が似合う役者さんです。「桃太郎侍」役も有名で、現在、NHK大河ドラマ「篤姫」で島津斉彬公役を好演しています。実際の斉彬公は49歳で亡くなられているので、年齢が一回り違うのはご愛嬌。

成井浩司先生(虎の門病院呼吸器科)著「睡眠時無呼吸症候群のすべて:いびきと眠気にご注意」(三省堂)の巻頭インタビューで、睡眠時無呼吸症候群(SAS:sleep apnea syndrome)で持続陽圧呼吸(CPAP)療法を受けていることが紹介されています。

成井先生自身も、SASでCPAP療法を受けておられるそうですが、高橋さんは2000年(56歳)にSASと診断されています。隣で寝ていた奥様が、大きないびきと無呼吸に気づいたそうです。日中や食後、車の中での眠気もあり、高橋さんのいびきを録音したテープ持参で、虎の門病院を受診されました。無呼吸指数が1時間に30以上と重症だったそうです。高橋さんのお父さんもいびきをかくひとで、63歳の時に狭心症で死亡してます。

以前、このブログで私が重症SASと脳血管障害、虚血性心疾患との関係を紹介してますが、まさにお父さんの死因として、SASの関連が疑われます。高橋さんは、診断された時、お父さんの亡くなられた年齢に近づいていたので、早速CPAP療法を開始し、現在も、旅先にも持ち運び、治療されているようです。

SASの約7割は肥満を伴ってますが、40歳頃から太りだした高橋さん(182cm, 86kg, BMI 26)は現在、食餌療法と毎晩の夜の散歩(1時間半)等で、肥満の解消に努めておられるようです。

肥満治療とCPAP療法で、SASをきちんと治療し、素適な演技を末永く我々に見せて欲しいものです。