心臓振盪(しんぞう しんとう)は脳振盪に比べて、耳なじみのない言葉です。
昨日、東邦大学医療センター大橋病院循環器内科教授 杉 薫先生の「心臓突然死の予防」 という演題の講演会を聞く機会がありました。その中で commotio cordis(cardiac concussion)(心臓振盪)の話が少しだけありました。
鹿児島県の高校野球、今年の夏の甲子園代表が鹿児島実業に決まりました。事例は少ないですが野球の打球が選手の胸にあたり、心肺停止状態になった話聞いたことないでしょうか。不幸にして亡くなった事例、幸にもAEDなどで救命できた事例など。
心臓振盪に関しては 戸田中央総合病院の輿水 健治(こしみず けんじ)先生のHPの記事が詳しいです。
http://www.chuobyoin.or.jp/shinzou-shintou/050618koshimizu.html
心臓振盪の診断基準は
Marton.et al(JAMA, 287, 1142-1146,2002)によると
1, 心停止直前に前胸部に非穿通性の衝撃を受けている。
2, 発生の状況が詳細に判明している
3, 胸骨、肋骨、心臓に構造的損傷がないこと
4, 心血管系に既存の異常がないこと
心電図では、多くは心室細動が発生しているようである。
心室細動発生については
1、鈍的外力が心電図上T波の頂点15-30msec前に加わる必要
2, 鈍的外力となるボールは硬いほうが発生しやすい
3, 心臓の直上にある胸壁に打撃が加わると発生しやすい胸郭の形成途上にある子供に発生しやすい。
対処として
最も重要なことは 早期除細動。2004年7月から日本で一般市民にAED(automated external defibrillator)(自動体外式除細動)の使用が認められました。
除細動が1分遅れると心室細動の治療成功率が7-10%減少。
1、心臓振盪は健康な子供におこる
2、心臓振盪は軽い衝撃でもおこりる
3、発症したらまずAED(自動体外式除細動)の手配を行なう。
4、bystander CPR(cardiopulmonary resuscitation) そばにいる人が迅速に心肺蘇生をする。
bystander: a person standing near, but not taking part in, what is happening.
5、AED(自動体外式除細動)がいつでも使える環境をつくる
つまり、AEDが社会に普及していることを基盤に、一般人でも、心臓マッサージ、気道確保、AEDの使用法に慣れることが大事なようである。
スポーツをしていて、致命的なイベントはどうしてもある確率起きてしまう。発症率を下げることはもちろんであるが、起きた時の対処法を一般人も少しは知っておく必要がありそうである。
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