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2008年1月18日 (金)

重症睡眠時無呼吸症候群患者の予後

私の高校時代のある同級生は重症の睡眠時無呼吸症候群(SAS: sleep apnea syndome)の患者であるが、経鼻的持続陽圧呼吸(nCPAP:nasal continuous positive airway pressure)療法がうまくいってない状態と聞いている。これまで、居眠り運転事故を2回おこし、高血圧症、高コレステロール血症、肥満、糖尿病境界型を持っている。両親とも脳血管障害になった。このまま、SASの治療がうまくいかないで放置されて、脳血管障害や虚血性心疾患を発症しないか心配である。

 20年前の文献であるが、重症SASの予後に関していまだによく引用されるものを紹介する。

He J. et al: Mortality and apnea index in obstructive sleep apnea; Experience in 385 male patients. Chest 94:9-14,1988

「閉塞型睡眠時無呼吸症候群385名の男性患者における無呼吸指数と致死率」

無呼吸指数(AI: apnea index)が20以上では、20未満に比べて有意に致死率が高い。無呼吸指数20未満では8年後死亡率4%に比較して、20以上では、37%死亡する。この致死率の差は特に50歳以下の患者で顕著であった。nCPAP療法の患者は一人も死亡してない。口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP:uvulopalatopharyngoplasty)で治療した患者8名死亡し、UPPPのみでの治療群の累積生存率は無呼吸指数20以上の無治療SASの生存率と有意差がなかった。結論として無呼吸指数20以上の閉塞型SAS患者は20未満の患者群と比較して有意に致死率が高く、UPPPを受けた患者は術後再度無呼吸検査等の検討が必要である。UPPPを受けて著しい改善が得られなければ、経鼻的持続陽圧呼吸(nCPAP)療法で治療すべきである。

この文献は、日本で持続陽圧呼吸(CPAP)療法が保険適応になった根拠の一つになっている(池上あずさ他:medicina, 44,1324-1327,2007)。

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